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優性遺伝性ドルーゼン

 

常染色体優性遺伝性を示し、網膜にある黄斑に進行性の変性がみられる目の疾患

 優性遺伝性ドルーゼンとは、常染色体優性遺伝性を示し、眼球内部の網膜にある黄斑(おうはん)に進行性の変性がみられる目の疾患。家族性ドルーゼン、網膜ジストロフィーとも呼ばれます。

 まれな疾患で、その発症原因はEFEMP1遺伝子のミスセンス変異(R345W)です。しかし、同じ家系内であっても症状の程度には個人差があり、軽症から重症まで一定しない傾向があることから、遺伝子変異と病態の関連性については、さらなる検討が必要と考えられています。

 20~30歳代で、両目の眼底にドルーゼンといわれる小さく境界鮮明な白点が認められ、このドルーゼンが徐々に融合したり、増加していきます。加えて、黄斑の網膜色素上皮に変性がみられて、色素異常によるむらや色素沈着が認められます。

 進行状況により、さまざまな程度の視力低下を示しますが、まれにドルーゼンから異常な血管である新生血管が生じると、著しい視力障害を示すことがあります。

 新生血管は正常な血管ではないため、血液の成分が漏れやすく、破れて出血を起こしてしまいます。初期では、物がゆがんで見える変視症や、左右の目で物の大きさが違って見えるなどの症状を自覚するケースが多くみられます。

 新生血管が破れて黄斑に出血を起こすと、見たい物がはっきり見えない急激な視力低下や、見ようとする物の中心部分が丸く黒い影になって見えなくなる中心暗点という症状が出現します。

 病巣が黄斑に限られていれば、見えない部分は中心部だけですが、大きな出血が起これば、さらに見えにくい範囲が広がります。病状が進行すると、視力が失われる可能性があります。

優性遺伝性ドルーゼンの検査と診断と治療

 眼科の医師による診断では、両眼対称性であること、進行性であること、家族にかかった人がいること、薬物や感染症など外因がないことなどが重要な手掛かりになります。

 眼底検査、フルオレセイン蛍光眼底検査、網膜電図などの電気生理学的検査も、診断を確実にするには必須です。異常を起こす遺伝子が突き止められている優性遺伝性ドルーゼンでは、遺伝子の検索も決め手になります。

 ドルーゼンには、老人性ドルーゼン、続発性ドルーゼンもありますが、網膜の神経線維が集まっている視神経乳頭の鼻側に、眼底検査でドルーゼンが認められた時には、優性遺伝性ドルーゼ ンと診断する大きな根拠になるとされています。

 今まではあまり有効な治療法はありませんでしたが、近年、優性遺伝性ドルーゼンは加齢黄斑変性症に近い病態であることが判明し、新しい方法が試みられるようになり、早期発見、早期治療によって視力低下を最小限に抑えられる可能性が期待できるようになってきました。

 優性遺伝性ドルーゼンの治療では、レーザーによるレーザー光凝固術や、場合によっては手術が行われます。近年、経瞳孔(けいどうこう)温熱療法(TTT)や光線力学療法(PDT)などといった新しい治療法が一部の施設で試みられ始めており、この疾患の予後の向上が期待されるようになってきています。

 レーザー光凝固術は、新生血管をレーザー光で焼き固める治療法です。正常な周囲の組織にもダメージを与えてしまいますので、新生血管が黄斑の中心窩(か)にある場合はほとんど実施されません。

 手術には、新生血管抜去術と黄斑移動術があります。新生血管抜去術は、新生血管を外科的に取り去る治療法です。新生血管が中心窩にある場合も実施されますが、中心窩を傷付けてしまう可能性もあります。

 黄斑移動術は、中心窩の網膜を新生血管から離れた場所に移動させることにより、中心窩の働きを改善する治療法です。新生血管が中心窩にある場合に実施されますが、物が二つに見えるなどの副作用が起こる場合もあります。

 新しい治療法の経瞳孔温熱療法は、弱いレーザーを新生血管に照射し、軽度の温度上昇によって、新生血管の活動性を低下させる治療法です。

 光線力学療法のほうは、光に反応するビスダイン(一般名:ベルテポルフィン)という薬剤を体内に注射し、それが新生血管に到達した時にレーザーを照射する治療法です。弱いレーザーによって薬剤が活性化され、新生血管を閉塞(へいそく)します。使用するレーザーは通常のレーザーとは異なり、新生血管周囲の組織にはほとんど影響を及ぼしません。継続的に行う治療法であり、3カ月ごとに検査を行い、その結果により必要に応じて再度実施されます。

 薬物療法として、ステロイド剤や、アバスチン(一般名:ベバシズマブ)という血管新生阻害剤などの硝子体への注入が試みられています。効果を得るには繰り返しの注入が必要で、経瞳孔温熱療法との併用も考えられています。

 治療後の視力は、病状の進行度によってさまざまです。一般に早期に治療を開始すると、良好な視力が保たれる傾向にあります。黄斑の中でも特に重要な中心窩に病態が現れている場合は、視力の低下は著明です。