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無症候性心筋虚血

 

一過性に心筋の虚血がありながら、自覚症状がない病態

 無症候性心筋虚血(SMI:silent myocardial ischemia)とは、検査上では狭心症と全く同じく冠動脈に狭窄(きょうさく)や閉塞(へいそく)を持ち、一過性に心筋の虚血を起こす所見がありながら、胸痛の自覚症状がない病態。無痛性心筋虚血とも呼びます。

 無症候性心筋虚血の起こる原因は、狭心症と同じで高血圧、高脂血症、肥満、高尿酸血症、ストレス、性格など。この無症候性心筋虚血を持つ発症者は、基本的に痛みを感じる限界値の高いことがわかっています。また、糖尿病にかかっていたり、年齢が高くなるとともに、発症頻度が増加します。

 すでに大きな心筋梗塞(こうそく)がある場合にも、痛みを感じないことがあります。心臓を移植した場合にも、神経がつながっていないために痛みを自覚できず、虚血性心疾患の発見が遅れることが欧米では問題になっていますが、日本でも決して対岸の火事ではありません。

 無症候性心筋虚血は、1型、2型、3型の3つに分けられます。

 1型は全く症状がない厄介なもので、日本では健康と思っている人の2〜3パーセントにあると見なされます。検診やほかの疾患で診察を受けた際に、偶然見付けられる程度です。

 2型は、心筋梗塞に合併します。狭心症と一緒にみられることが多く、比較的診断されやすいもの。普通、心筋梗塞の20〜50パーセントにみられますが、急性期ほど頻発します。

 3型は、狭心症と一緒に発症するものです。一般的に、安定狭心症とは20〜40パーセントに合併し、不安定狭心症とは50〜80パーセントと高率に合併します。しかも、発生する心筋虚血の4分の3が無症候性心筋虚血なのです。

 従って、狭心症心筋梗塞例を治療する際には、自覚症状の改善だけではなく、無症候性心筋虚血発作の有無を適宜、検査してもらう必要があります。自覚症状だけを目標に治療すると中途半端となり、心筋梗塞や心臓性急死に進む危険があります。胸痛を自覚しなくなったことは改善を意味しますが、心筋虚血発作が完全に消えたわけではなく治療は十分とはいえないことを、忘れないようにします。

無症候性心筋虚血の検査と診断と治療

 無症候性心筋虚血では自覚症状がないため、診断には各種の検査が欠かせません。よく行われるものに、運動負荷試験とホルター心電計があります。心筋シンチグラフィも、症例を選んで行われます。全体像を把握した上で、必要に応じて冠動脈造影も行われます。

 治療は、基本的に狭心症と同じです。高血圧、高脂血症、糖尿病などの生活習慣病がリスクを高めるため、生活習慣病にかからないように留意し、もしかかってしまった場合には、そちらの治療をすることが先決となります。肥満している人は減量、喫煙している人は禁煙を図ります。

 しかし、無症候性心筋虚血では自覚症状がないために、無理をしたり、受診や治療が遅れたりなど、医師と発症者の双方とも好ましくない状況を作りやすい危険性があります。この疾患を十分に理解するようにします。

 無症候性心筋虚血などの虚血性心疾患にかからないためには、狭心症心筋梗塞、冠動脈硬化を促進させる危険因子を遠ざけて、改善することが大切です。そのためには、40歳になったら毎年1回、心電図、血圧、血中総コレステロールなどの脂質を測定することです。特に、こうした疾患が発生した家系の人には起こりやすいので、心臓、血管系の検診を毎年受けるようにします。