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三日ばしか

 

急性ウイルス性疾患で、発疹、リンパ節のはれ、発熱が主要な兆候

 三日ばしかとは、発疹(ほっしん)、リンパ節のはれ、発熱を主な兆候とする急性ウイルス性疾患。風疹(ふうしん)とも呼ばれます。

 はしか(麻疹)より感染力が弱く、通常3日程度で発疹が消えて治るため、三日ばしかと呼ばれます。怖いのは妊娠初期の女性が感染した場合で、流産したり、風疹ウイルスが胎盤を介して胎児に感染し、生まれた新生児に先天性風疹症候群と呼ばれる形態異常を起こす確率が高くなります。

 症状や重さは感染時期によって異なり、妊娠2カ月以内だと白内障、心臓の形態異常、聴力障害のうち2つ以上を抱えて生まれることが多くなります。妊娠3~5カ月でも聴力障害がみられます。

 こうした新生児は1965年に、沖縄県で400人以上生まれました。また1977~79年の全国的な大流行の際は、影響を恐れた多くの妊婦が人工妊娠中絶をしました。

 三日ばしかは例年、春先に流行し始め、ピークは5、6月。かかりやすい年齢は5~15歳ですが、成人になってからかかることもあります。感染力はそれほど強くなく、かかっても症状の現れない不顕性感染が約15パーセントあります。一度自然にかかれば、一生免疫が続くと考えられています。

 かつてはほぼ5年ごとに全国的な流行を繰り返しましたが、1994年以降は局地的、小規模な流行にとどまっています。患者の全数把握が始まった2008年は294人。その後、2009年147人、2010年90人と減少しましたが、2011年は12月11日までの集計で362人と増加し、特に予防接種政策の影響でワクチンを打たずにきた成人の男性が職場で集団感染するケースが目立ちました。

 14~21日の潜伏期間の後、全身の淡い発疹、耳の後ろや後頭部の下にあるリンパ節のはれ、発熱などの症状が現れます。人に移るのは発疹の出現数日前から出現後5日間で、感染者の唾液のしぶきなどに接触することで移ります。一般に症状は軽く、初期はごく軽い風邪症状のこともありますが、気付かれないことも多く、発疹が出て初めて気付くくらいです。

 しかしながら、発疹に先立ってリンパ節のはれや圧痛が耳や首の後ろ、または後頭部に起こるのが特徴です。リンパ節のはれは、発疹が消えてからも数週間に渡って続くことがあります。一般に発熱は軽度で高熱をみることは少なく、40〜60パーセントは無熱で経過します。そのほか、全身倦怠(けんたい)感や、のどの痛み、結膜の充血がみられることがあります。

 発疹は、はしかと比べると小さめで、色も薄く桃色をし、3日間くらいで色素沈着を残さずに消えます。

 まれに、重い合併症が起きます。主なものには脳炎、髄膜炎、血小板減少性紫斑(しはん)病、関節炎があります。特に注意を要するのは脳炎で、三日ばしかの流行期に5000〜6000例に1例の頻度でみられます。発疹の出現後2〜7日で発症しますが、予後はよく、後遺症を残すことはまれです。

三日ばしかの検査と診断と治療

 小児科や内科、感染症内科の医師による診断では、一般的に、保険適用されている血清診断を行います。ウイルスの分離が基本ですが、通常は行わず、保険適応もされていません。

 血清診断では、急性期と回復期の抗体価が4倍以上上昇することにより確定診断する赤血球凝集抑制反応や、急性期に三日ばしか(風疹)に特異的なIgM抗体を検出することで確定診断する酵素抗体法などの方法がよく用いられます。はしか(麻疹)や水痘(水ぼうそう)と違い、三日ばしかは症状や所見だけで診断することの難しい疾患の一つです。

 医師による治療では、特別な方法はないため、対症的に行います。発熱、頭痛、関節炎などに対しては、解熱鎮痛剤を用います。治療を必要としない場合も多くみられ、子供では一般に症状は軽いので、安静だけで3〜5日で自然に治ります。

 三日ばしかは第二種の伝染病に定められており、幼稚園や学校を休む必要があります。発疹がなくなることが目安になるため、発症後6日目ごろから登園、登校してもよいのですが、1カ月くらいは無理をさせないで合併症に気を付けます。

三日ばしかの予防

 予防法として、風疹(三日ばしか)ワクチンの接種があります。風疹ワクチンの接種の対象は1977年から94年までは中学生の女子のみでしたが、同年の予防接種法改正以来、その対象は生後12カ月以上~90カ月未満の男女とされました。

 さらに、2006年以降は、風疹ワクチンは麻疹・風疹混合ワクチン(MRワクチン)として接種、第1期(1歳児)と第2期(小学校入学前年度の1年間に当たる子)に計2回接種しています。これは1回の接種では免疫が長く続かないため、2回目を接種して免疫を強め、成人になってから三日ばしか(風疹)やはしか(麻疹)にかからないようにするためです。

 2008年4月1日から5年間の期限付きで、麻疹・風疹混合ワクチンの予防接種対象が、第3期(中学1年生相当世代)、第4期(高校3年生相当世代)にも拡大され、接種機会を逸し1回しか接種されていない子も2回接種が可能になっています。

 先天性風疹症候群を始め、脳炎、髄膜炎、血小板減少性紫斑病などの発症予防のために、麻疹・風疹混合ワクチンの接種が勧められます。

 また、妊娠を望むものの風疹抗体がないか少ない成人女性も、積極的に麻疹・風疹混合ワクチンの予防接種を受けることが望まれます。

 ただし、妊婦の風疹ワクチン接種は禁忌で、風疹ワクチン接種後2~3カ月間は妊娠は避けることが望ましいでしょう。風疹抗体がないか少ない女性が妊娠した場合、三日ばしかの流行期は特に注意が必要で、抗体価検査を定期的に行い、経過観察を続ける必要があります。

 身近に妊娠を望む女性がいる場合、麻疹・風疹混合ワクチン未接種で三日ばしかにかかったことがない成人の男性も、ワクチンを接種して予防することが望まれます。