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慢性閉塞性肺疾患

 

肺への空気の流れが悪くなる疾患

 慢性閉塞(へいそく)性肺疾患とは、せきやたん、息切れを主な症状とし、慢性気管支炎か慢性肺気腫(はいきしゅ)のどちらか、または両方によって肺への空気の流れが悪くなる疾患。

 COPD(Chronic Obstructive Pulmonary Disease)とも呼ばれます。

 世界保健機関(WHO)では、死亡原因の第4位に挙げていて、2020年には第3位になると予測しています。2005年には、世界中で年間300万人が慢性閉塞性肺疾患により命を落としました。

 日本では、1999年の厚生労働省による調査で、21万2000人の患者がいるとされましたが、2000年から2001年にかけて行った調査では、慢性閉塞性肺疾患の潜在患者は40歳以上の8・5パーセント(男性13・1パーセント、女性4・4パーセント)に相当する530万人と推測されました。その潜在患者のうち治療を受けているのは、5パーセント未満といわれています。

 厚生労働省の統計によると、2005年に14416人が慢性閉塞性肺疾患により死亡し、死亡原因の10位、男性に限ると7位を占めています。

 別名、たばこ病ともいわれるように、最大の原因は喫煙で、患者の90パーセント以上は喫煙者です。長年に渡る喫煙が大きく影響するという意味で、まさに肺の生活習慣病です。

 たばこを吸わない人でも4・7パーセントの人が慢性閉塞性肺疾患にかかっています。これは、副流煙による受動喫煙の危険性を物語っています。副流煙には、喫煙者が吸う主流煙よりも発がん物質を始めとする有害物質、例えばタール、トルエン、メタンなどが多く含まれています。

 喫煙者が近くにいる人は、たばこを吸わなくても喫煙者と同等か、それ以上の有害物質を吸い込んでいるのです。家族がヘビースモーカーだったり、分煙されていない職場で仕事をしている人は、慢性閉塞性肺疾患にかかる危険性が高まります。

 たばこと慢性閉塞性肺疾患の関連を示す数字として、「喫煙指数」があります。

 「喫煙指数」=1日に吸うたばこの本数×喫煙している年数

 例えば、1日に40本、20年間喫煙している場合は40×20=800で、喫煙指数は800。この指数が700を超えると慢性閉塞性肺疾患だけでなく、咽頭がんや肺がんの危険性も高くなるといわれています。喫煙指数が同程度の男女を比較すると、男性よりも女性のほうが重症化しやすい傾向があることがわかっています。

 慢性閉塞性肺疾患には、頑固なせきやたんが続き気管支が狭くなる慢性気管支炎と、肺の組織が破壊されて息切れや呼吸困難を起こす慢性肺気腫が含まれます。どちらも初期には自覚症状がほとんどない場合が多く、ゆっくりと進行して、次第に重症になっていきます。

 呼吸機能の低下が進んで、通常の呼吸では十分な酸素を得られなくなると(呼吸不全)、呼吸チューブとボンベの酸素吸入療法なしには日常生活が送れなくなってしまいます。

慢性閉塞性肺疾患の治療と予防

 医師による診断は、スパイロメトリー検査によって行われます。息を深く吸い込んで思い切り最後まで吐き出した量が肺活量ですが、最初の1秒間に吐き出す息の量が肺活量に占める割合(1秒率)によって、呼吸機能を計測します。この1秒率が70パーセント以下の場合に、慢性閉塞性肺疾患と診断されます。

 たばこを吸い続けている人、吸ったことのある人は、ぜひこの検査を受けてみてください。

 予防は、いうまでもなく禁煙です。家族にたばこを吸う人がいる場合は、喫煙の有害性を話し合って、禁煙を勧めましょう。

 禁煙したくてもなかなかできない人は、禁煙外来などで医師に相談してみてください。特に不安な人には、医療機関で肺機能検査や胸部CT検査を受けることをお勧めします。

 慢性閉塞性肺疾患になると呼吸機能は元の健康な状態には戻らないので、今より悪くしないことが治療の最も重要な眼目になります。喫煙者の場合は、症状をそれ以上に進めないよう、まずは禁煙。

 同時に、気道を広げて呼吸を楽にする気管支拡張剤、せきを切れやすくする去痰(きょたん)剤などが、対症療法的に用いられます。

 息が切れると動くのが面倒になり、運動不足になって運動機能が低下し、呼吸困難がさらに悪化するという悪循環になりがちです。そのため、ウォーキングなどの軽い運動や腹式呼吸も効果的です。

 肺や気管支の障害は、インフルエンザや肺炎などにかかった場合に重症化する危険性があります。インフルエンザが流行する冬にはうがいを励行する、秋には前もってワクチン接種受けておくなど、十分に注意することが大切です。