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脾臓破裂

 

腹部を強打して破裂することが多く、伝染性単核球症で自然に破裂することも

 脾臓(ひぞう)破裂とは、左横隔膜の下、左肋骨弓(ろっこつきゅう)のところにある100グラムほどの臓器である脾臓が破裂すること。

 交通事故やスポーツ事故、打撲などで腹部を強打して破裂することが多く、特に脾臓がはれている脾腫(しゅ)のある人は健康な人に比べて、破裂しやすくなっています。

 また、主にEB(エプスタイン・バー)ウイルスの感染で起こる伝染性単核球症が原因で脾臓がはれて大きくなると、腹に圧力や衝撃がかかる運動や軽微な外傷で破裂したり、自然に破裂しやすくなります。

 一般に、左上腹部の疼痛(とうつう)が、脾臓破裂に先行して起こります。脾臓が破裂すると、脾臓を覆う被膜や内部組織も裂けます。古くなった血球、すなわち赤血球、白血球、血小板を破壊して処理したりする脾臓は血管の豊富な臓器であるため、被膜が避けると血液が腹腔(ふくくう)内に流出して腹痛が起こり、血圧が下がって、めまいや意識障害などの症状が現れます。腹筋も反射的に収縮して、硬くなります。

 大量に血液が流出している場合は、出血性ショックにより生命にかかわる危篤な状態になることもあるので、すぐに処置しなければいけません。 緊急に輸血して血液循環を維持するとともに、手術を実施して止血する必要があります。

 血液が徐々に漏れ出している場合は、血流量が減少して血圧が低下し、脳や心臓に十分な酸素が供給されなくなって、初めて症状が現れることもあります。低血圧や酸素欠乏による症状には、めまい、意識障害、視力障害、錯乱、意識喪失などがあります。

 脾臓の損傷が破裂にまで至らず、被膜下血腫を起こすこともあり、その血腫は損傷を受けた数時間後、あるいは数カ月後まで破裂しないこともあります。

脾臓破裂の検査と診断と治療

 外科、消化器外科などの医師による診断では、症状が脾臓破裂以外の原因によるものかどうかを判定するため、腹部X線検査を行います。超音波検査やCT検査を行うこともあります。

 放射性物質を使った画像検査で、血流をたどって出血の有無を確認したり、腹腔内の体液を針で吸引して、腹腔内の出血を調べることもあります。

 脾臓破裂の疑いが濃厚である場合は、緊急手術を行って、致死的な出血を未然に防ぎます。通常は手術で脾臓全部を除去しますが、破裂範囲が小さい場合は修復できることもあります。

 脾臓を摘出すると、細菌やウイルスに対して防御する働きが失われ、感染を起こしやすくなるなどのリスクが生じますが、命にかかわるような問題がある場合は手術を行う価値があります。しかし、特に小児の場合、細菌感染に対する永久的な感受性が生じるのを防ぐため、可能なら脾臓摘出を避け、必要に応じた輸血で対処します。

 脾臓摘出の実施前後には、感染を防ぐための特別な注意が必要です。例えば、可能であれば、手術前には肺炎球菌に対する予防接種を行います。

 手術後は毎年、インフルエンザの予防注射を受けることが推奨されます。特定の健康状態にある人、例えば鎌状赤血球症やがんなど命にかかわる感染症を起こすリスクの高い疾患を持っている人では、感染を防ぐ抗生物質の使用が推奨されます。

 伝染性単核球症の治療では、抗EBウイルス薬はないため、安静と対症療法が中心です。症状が長引く場合は、ステロイドホルモン剤を用いることもあります。重症の場合は、血漿(けっしょう)交換療法や抗がん剤が用いられます。