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全身性肥満細胞症

 

皮膚のみならず、体のさまざまな部位に肥満細胞が異常に蓄積する疾患

 全身性肥満細胞症とは、皮膚のみならず、体のさまざまな部位に肥満細胞が異常に蓄積する疾患。まれながら、難治性の疾患です。

 マスト細胞とも呼ばれる肥満細胞の数が増加して、組織に蓄積すると発症します。肥満細胞は免疫システムを構成する細胞の仲間で、アレルギー反応や胃酸の分泌に関与する物質であるヒスタミンを産生します。

 この全身性肥満細胞症では肥満細胞の数が増えるので、ヒスタミンの量も増加します。しかし、何が原因で肥満細胞の数が増えるのかは、わかっていません。

 全身性肥満細胞症にかかるのは、ほとんどが成人で、肥満細胞が皮膚のみならず、胃、腸、肝臓、脾臓(ひぞう)、リンパ節、骨髄に蓄積します。

 この場合も、組織がほとんど影響を受けずに機能し続ける可能性はありますが、白血球が産生される骨髄に過剰に肥満細胞が蓄積すると、血液細胞を十分に産生できなくなって、骨髄球性白血病などの重い血液疾患を発症することがあります。そのほかの臓器でも、肥満細胞が多数集まると機能不全が起こり、結果として生命にかかわることがあります。

 全身性肥満細胞症を発症すると、肥満細胞が皮膚のあちこちに蓄積して、小さくて赤みがかった褐色の発疹(はっしん)や丘疹をつくる色素性じんま疹を起こします。

 発疹や丘疹をこすったり引っかいたりすると、かゆくなることがあります。かゆみは、温度の変化、衣類などによる摩擦、薬の使用などでひどくなることがあります。熱い飲み物、香辛料の入った食品、アルコール類の摂取、そして運動によってもかゆみが増す場合があります。

 消化性潰瘍(かいよう)も起きることがありますが、これはヒスタミンが過剰に産生されて胃酸の分泌を促進するためです。潰瘍によって腹痛が起き、吐き気、嘔吐(おうと)、慢性の下痢が起きることもあります。

 さらに、肝臓と脾臓が機能不全を起こして腹水がたまった場合は、腹部が膨隆します。骨髄で肥満細胞が増殖すると、骨の痛みが現れます。

 症状は広範囲にわたり、重症化して、失神したり生命にかかわるほど血圧が急激に低下するアナフィラキシー様反応を引き起こす傾向があります。アナフィラキシー様反応とは、アナフィラキシー反応に似ていますが、アレルゲンによって引き起こされるものではありません。

全身性肥満細胞症の検査と診断と治療

 皮膚科、内科などの医師による診断では、特徴的な症状から全身性肥満細胞症を疑い、皮膚または骨髄の生検により診断を確定します。通常は皮膚の組織を採取して、顕微鏡を使って肥満細胞の有無を調べます。骨髄の組織を採取して、顕微鏡を使って肥満細胞の有無を調べることもあります。

 また、血液検査で肥満細胞に関連する化学物質の量を調べます。化学物質の量が増えていれば、全身性肥満細胞症と診断する根拠になります。

 皮膚科、内科などの医師による治療では、皮膚症状の悪化やかゆみを抑制するために抗ヒスタミン剤を投与し、胃酸を抑えるためにヒスタミンH2受容体拮抗(きっこう)剤(H2ブロッカー)を投与します。クロモグリク酸を投与すると、消化器症状と骨の痛みを軽減できます。

 白血病を発症した場合には、抗がん剤を週に1回、皮下に注射すると、骨髄への影響を抑えられることがあります。短期間であればステロイド剤の投与も効果的です。しかし、3~4週間を超えて投与を続けると、さまざまな重い副作用が起きることがあります。

 脾臓に多量の肥満細胞がたまっている場合には、脾臓を摘出することがあります。