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赤芽球癆

 

再生不良性貧血の中の特殊なタイプで、赤血球だけが減るために起こる貧血

 赤芽球癆(せきがきゅうろう)とは、強い貧血を起こす疾患。極めて珍しい疾患です。

 この赤芽球癆は、再生不良性貧血に分類され、その中で特殊なタイプとされています。再生不良性貧血は、骨髄にある血液細胞の源に当たる造血幹細胞が何らかの原因によって減るために、赤血球だけでなく、白血球や血小板も減るのが特徴です。

 赤芽球癆では赤血球だけが減り、白血球と血小板は正常範囲にあるという違いがあるにもかかわらず、再生不良性貧血に分類されているのは、造血幹細胞の異常によって引き起こされるためです。

 赤血球、白血球、血小板などの血液細胞は骨髄で作られますが、赤血球は造血幹細胞から赤血球系幹細胞、前赤芽球、赤芽球、網赤血球という段階を経て、成熟した赤血球になります。赤芽球癆では骨髄において、赤血球の元になる赤芽球や、若い赤血球である網赤血球が傷付けられて極端に減り、赤血球だけが作られなくなります。赤血球は全身に酸素を運ぶ働きがあり、赤血球が減るほど息切れなどの症状が強く出ます。

 赤芽球癆は、急性赤芽球癆と慢性赤芽球癆に大きく分類されます。

 急性赤芽球癆は、パルボウイルスB19などのウイルス感染や、チアンフェニコール 、ジフェニルヒダントインなどの薬剤の服用によって、赤血球前駆細胞が障害されて発症します。幼児に一過性発疹(はっしん)のリンゴ病を引き起こすパルボウイルスB19の感染によって発症する赤芽球癆では、赤血球寿命の短い溶血性貧血の場合に強い貧血を呈します。

 慢性赤芽球癆のほうは、ダイアモンドブラックファン貧血とも呼ばれる先天性赤芽球癆と、後天性赤芽球癆に分類されます。

 慢性赤芽球癆のうち、ダイヤモンドブラックファン貧血は重要な造血器である骨髄に先天的な障害があるために、血液中の赤血球が減少して起こります。常染色体劣性遺伝をする、まれな疾患で、強い貧血を起こします。

 赤血球が減るほど、息切れ、動悸(どうき)、めまい、ふらつきなどの症状が強く出ます。母指または他の指の骨の異常、および低身長を伴うこともあります。通常は乳児期に発症しますが、成人期に発症することもあります。

 慢性赤芽球癆のうち、後天性赤芽球癆は免疫機構をつかさどる胸腺(きょうせん)に腫瘍(しゅよう)を併発することが多いことから、自分のリンパ球が赤血球系幹細胞を攻撃する自己免疫疾患の一種と考えられています。胸腺に腫瘍を併発する例では、重症筋無力症を併発することもあり、脱力や眼瞼(がんけん)下垂などの症状がみられます。

赤芽球癆の検査と診断と治療

 医師による赤芽球癆の診断では、針を刺す骨髄穿刺(せんし)によって骨髄液を採取して、赤芽球が極端に少なくなっていることを確認します。胸部X線、胸部CT検査で、胸腺腫を認めることもあります。

 貧血が重篤な場合は、症状を改善するために輸血が必要になることがあります。これは応急処置でしかなく、治療としては再生不良性貧血の中等症や重症の場合と同様に、免疫抑制療法が行われます。

 最も多く使われる薬は免疫を抑制するシクロスポリンで、これを服用することで70~90%パーセントの人は改善されます。また、ステロイド剤(副腎〔ふくじん〕皮質ホルモン剤)などを組み合わせて使うこともあります。

 ウイルス感染以外では、薬をやめるとしばしば再発しますので、血液内科の専門医のもとで、副作用にも気を配りながら根気よく治療を続けます。一方、薬剤性赤芽球癆の場合は、原因と見なされるすべての薬剤の服用を中止します。中止が困難な薬剤の場合は、ほかの作用機序の異なる薬剤へ変更を試みます。

 感染性や薬剤性の場合は通常、免疫抑制療法を行うことで1~3週間以内に改善傾向が認められます。

 胸腺腫を伴う赤芽球癆の発症者は胸腺摘出後に改善するので、胸部CT検査を用いて病変の存在を検索し、外科的治療が検討されます。

 ダイアモンドブラックファン貧血とも呼ばれる先天性赤芽球癆の治療では、骨髄移植が有効で、骨髄移植した子供の90パーセント以上が成功しています。そのほか、薬物療法として、蛋白(たんぱく)同化ホルモン剤や、ステロイド剤が併用されます。

 ステロイド剤のメチルプレドニゾロンの大量使用や、免疫抑制療法も行われています。その際には、薬の副作用や感染症、合併症に十分注意します。