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性交不能症

 

精神的、ないし身体的な原因で満足な性行為が行えない状態

 性交不能症とは、性的な刺激を受けても、陰茎の形や大きさが不足したり、勃起(ぼっき)を射精時まで維持できなかったりして、満足な性行為が行えない状態。勃起障害、勃起不全、インポテンツ、ED(Erectile Dysfunction)とも呼ばれます。

 男性の陰茎の内部の中心には、スポンジのような構造をした左右一対の陰茎海綿体があり、この海綿体が硬く膨張して勃起は起こります。平静時には、陰茎は委縮と勃起の中間の状態にあります。活動の神経である交感神経系のシグナルと、リラックスの神経である副交感神経系のシグナルの両方が、互いに作用していることによります。

 性的な刺激を受けた場合や、性的なことを想像した場合に大脳皮質が興奮すると、その信号が脊髄(せきずい)や末梢(まっしょう)神経を通って、陰茎海綿体神経に伝達されます。一酸化窒素が分泌され、さらにサイクリックGMP(グアノシン一リン酸)が合成されて、陰茎海綿体にある平滑筋が緩みます。このために、血液が一気に海綿体へと流入します。

 すると、陰茎海綿体を覆っている白膜が引き伸ばされ、静脈を圧迫して血液の出口をふさぐために、流入した血液が海綿体中に閉じ込められた状態になって、陰茎が性行為に適当な硬さに硬直して、勃起が完成します。これらの流れのうちどこかに異常が起こった状態が、性交不能症です。

 性交不能症は心因性(機能性)の障害と、身体的(器質性)の障害に大別することができますが、大部分は前者です。

 心因性(機能性)障害は、基本的には体に異常がないものの、精神的な原因で勃起の障害を来します。具体的には、不安、ストレス、心の病、性器や性行為能力への不信、家の構造上の問題などが原因となります。勃起が起こるには基本的に性的な刺激が必要で、精神的ストレスなどがある時はいくら刺激を受けても、勃起を起こす大脳中枢神経、自律神経、ホルモン系などに悪影響を及ぼし、勃起のメカニズムが正常に作用しなくなります。

 身体的(器質性)障害では、糖尿病によるものが著しく増加しています。そのほか、脊髄損傷、脳障害、動脈硬化、高血圧、泌尿器疾患、内分泌機能障害、薬の副作用が、原因となっています。内分泌機能障害の一つには、男性ホルモンの低下が挙げられます。

性交不能症の検査と診断と治療

 現在のところ、性交不能症には絶対的な解決策は存在しません。 状態が緊急を要したり、症状が重い場合は、医師へ相談することも選択肢の一つです。

 医師による心因性(機能性)障害の場合の治療は、カウンセリング、性的教育などが主体となりますが、薬物療法を用いることもしばしばあります。

 身体的(器質性)障害の場合は、陰圧式勃起補助具の使用や、陰茎プロステーシスの海綿体内埋め込み手術などがありますが、保険診療では認められていません。

 性交不能症の治療薬としては、厚生労働省にも認可されているバイアグラクエン酸シルデナフィル)や、レビトラ(バルデナフィル)が有名です。バイアグラの作用は、勃起のメカニズムのうちでサイクリックGMPの代謝を抑制します。このことで海綿体平滑筋の弛緩(しかん)が増強されるために、勃起も増強されます。つまり、勃起の増強剤であり、決して万能の薬ではありません。

 勃起に関する神経や血管の完全障害の人には、バイアグラは全く効果がありません。また、心臓病でニトログリセリンなどの血管拡張剤を使用している人では、死亡ケースも出ており使用できません。動脈硬化の強い人や高齢者などの使用にも、十分な注意が必要です。専門の医師にも相談の上、使用することが大切となります。

 なお、生活習慣の改善、禁煙・禁酒の実行、性行為時のちょっとしたアイデアで、性交不能症を解決したというケースもあります。