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嵌頓ヘルニア

脱出した臓器が穴で締め付けられ、元へ納まらなくなった状態

 嵌頓(かんとん)ヘルニアとは、脱出した臓器が脱出穴であるヘルニア門で締め付けられ、元へ納まらなくなった状態。

 締め付けられた状態が長期に及ぶと、血流の流れが妨げられて脱出した部分が腐る壊死(えし)に至ることがあります。

 体の至る所にできるヘルニアには、脱出した臓器を完全に戻すことができる還納性ヘルニア、完全に戻すことができない不還納ヘルニアなど、いろいろな呼び名があります。不還納ヘルニアの偶発症に当たるのが嵌頓ヘルニアであり、嵌頓とは締め付けられて還納できなくなった状態を意味します。

 嵌頓ヘルニアは足の付け根の鼠径(そけい)部にできやすく、脱出した腸が嵌頓した場合には腸閉塞(へいそく)となり、突出する腹壁の穴が小さいと腸が締め付けられて、血液の流れが妨げられる絞扼(こうやく)性腸閉塞となります。

 激しい痛み、吐き気、嘔吐(おうと)などの腸閉塞の症状が出現し、急いで整復処置や手術をしなければ、生命に危険を及ぼします。

 脱出した精巣、卵巣が嵌頓した場合にも、血液の流れが妨げられて出血性梗塞(こうそく)や壊死を起こすことがあります。

 鼠径ヘルニアには先天性(若年性)と後天性のものがあり、先天性は乳幼児に、後天性は高齢者に多くみられますが、乳幼児期ほど嵌頓ヘルニアを起こす率が高くなっています。

嵌頓ヘルニアの検査と診断と治療

 乳幼児の鼠径部がはれて不機嫌、何度も吐く、泣き続けて元気がない、男の子では陰嚢(いんのう)が赤くはれているなどの症状を認めたら、すぐに外科、あるいは消化器科の専門医を受診します。

 嵌頓ヘルニアの多くは専門的な医師による整復処置でとりあえず元に戻りますが、整復処置をしても元に戻らない場合は、ヘルニア内容物の腸や精巣、卵巣などが血行障害に陥って障害される危険があるため、嵌頓を解除する緊急手術も考慮されます。

 手術に関しては、生後3カ月以降であれば発見次第すぐ行う医療機関と、ある程度の年齢まで待機して行う医療機関とがあります。未熟児で生まれた乳児では、手術可能な時期は生後3か月よりも遅くなります。

 整復処置で嵌頓が解除された場合も、ヘルニアの原因は修復されていないため、後に手術で原因となった構造を修復する必要があります。 特に女児の場合は、卵巣などの女性付属器が絶えずヘルニアとして飛び出していることが多く、手術は早めにしたほうがよいとされています。

 手術の多くは2、3日の入院で可能で、手術後は約1週間で普通の生活ができます。再発もほとんどありません。とはいっても、乳幼児の手術は通常、全身麻酔で行われますので、麻酔専門の医師がいるところでの安全な手術が勧められます。