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間質性肺炎

 

肺胞の回りの壁の部分に炎症が起こる疾患

 間質性肺炎とは、肺胞と肺胞の間にある壁で、肺胞上皮細胞、肺毛細血管、結合組織などからなる間質に炎症が起こる疾患。進行して炎症組織が線維化すると、肺線維症と呼ばれます。

 人間は、肺で呼吸をしています。肺全体は非常に目の細かいスポンジのような構造をしており、空気を吸えば膨らみ、空気を吐けば縮むという動きをスムーズに行っています。吸い込まれた空気は、気管支の末端の直径数ミクロン(1ミクロンは1000分の1ミリ) の肺胞まで入ります。

 この肺胞の回りの壁の部分が間質であり、非常に 薄くて、中には毛細血管が網の目のように張り巡らされていて、ここから酸素が吸収されます。酸素を吸収した 血液は心臓へと戻り、そこから全身に供給されてゆきます。

 この肺胞の壁である間質に炎症が起きる疾患は、総称して間質性肺疾患と呼ばれ、正常な組織がコラーゲン線維などに置き換わる線維化を起こしやすい疾患は特に、間質性肺炎とまとめて呼ばれています。

 通常、肺炎といった場合には、細菌やウイルスの感染によって肺胞内もしくは気管支に起こる炎症を指し、間質性肺炎の場合とは異なった症状、経過を示します。

 間質性肺炎の炎症が進むと、肺胞壁が厚くなり、肺胞の形も不規則になって、肺全体が少し硬くなります。その結果、肺の膨らみが悪くなり肺活量が落ちると同時に、酸素の吸収効率も悪くなってゆき、息苦しくなったり、せきが出ます。さらに進行すると、 肺は線維性成分の固まりとなり、この部分での肺としての機能が失われます。

 もちろん、その状態まで進むのは肺の一部であり、残りの部分で十分に呼吸を続けることが可能です。間質性肺炎の種類によっては、線維化の状態まで進まないタイプのものもあります。

 間質性肺炎には、原因が不明なものと、原因が明らかなものとがあります。

 原因が不明なものは、特発性間質性肺炎と呼ばれ、国が難病として研究、調査の対象に指定した118の特定疾患の中の1つになっています。発病率は一般的に10万人に5人程度といわれ、 詳しいメカニズムはわかっていません。

 特発性間質性肺炎は、現在のところ7つの異なった病理組織像(顕微鏡検査での型)に分類されますが、急性、亜急性、あるいは慢性経過に分けることができます。中で最も頻度が高いのは特発性肺線維症と呼ばれるもので、50歳以上に発症することが多く、肺機能は次第に低下して、呼吸困難が強くなり、酸素療法が必要になる場合があります。

 原因が明らかなものは、有害物質の吸入による過敏性肺炎、放射線による放射線肺炎、中毒や薬剤による肺炎、ウイルスや原虫感染による肺炎によって、間質性肺炎が引き起こされます。また、肺サルコイドーシス、膠原(こうげん)病の一症状として、間質性肺炎が出現することもあります。

 症状としては、たんを伴わないせきが出ます。ただし、気道感染が起こっている時は、たんも出ます。また、階段を上った時などに息切れします。

 進行すると、安静にしていても呼吸が苦しく、動悸(どうき)も激しくなります。さらに進んで心臓に影響を及ぼすと肺性心となり、チアノーゼやむくみがみられるようになります。

 徐々に疾患が進行して慢性化することもあります。

間質性肺炎の検査と診断と治療

 呼吸器障害の症状が現れた場合には、一般に内科、もしくは呼吸器内科を受診します。間質性肺炎には原因が不明なもの、原因が明らかなものと多くの疾患が含まれていますので、受診した医師に専門医を受診する必要があるかどうかを相談します。

 医師による間質性肺炎自体の診断は、胸部X線検査やCT検査(コンピューター断層撮影)により左右の肺に広く影が出現し、進行すると線維化を反映して蜂巣(ほうそう)状を呈するすることで、比較的すぐにわかります。

 しかし、原因を調べるために気管支内視鏡による組織の採取や肺機能検査、血液検査など、さまざまな検査が行われます。

 急性の間質性肺炎では、大量のステロイド剤を投与するパルス療法が行われることがあります。しかし、慢性の間質性肺炎では、一般的には薬物治療では効果が得られないことが多いといえます。

 治療には、入院加療が必要なこともありますが、慢性化して疾患が危険な状態に進行する恐れがなければ、通院治療も可能です。呼吸困難がある場合も、疾患が慢性期になっていれば、在宅酸素療法によって自宅療養が可能なこともあります。

 進行して二酸化炭素排出も不十分となった場合には、酸素投与のみでは炭酸ガスナルコーシスを引き起こしかねないため、人工呼吸器を導入せざるを得なくなります。

 特定疾患に指定されている特発性間質性肺炎を治癒させる方法は、今のところありません。進行をできるだけ遅くするようにしたり、症状をできるだけ少なくする治療が中心になります。呼吸状態が悪くなく、安定していれば、原則的には無治療で様子をみることが多いのが現状です。

 進行する場合は、ステロイド剤と免疫抑制剤の使用を考慮されることがあります。2008年に、肺機能の悪化を抑制するピルフェニドン(商品名ピレスパ)という新しい薬(抗線維化薬)が発売され、その効果が期待されています。

 タイプにもよりますが、進行性で治療に抵抗を示すものでは数週間で死に至るものの、慢性的に進行した場合は10年以上生存することも多くみられます。肺移植が行われることもあります。