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川崎病

 

全身の中小動脈の炎症性疾患で、乳幼児に発症

 川崎病とは、乳幼児に発症する全身の中小動脈の炎症性疾患。1967年、小児科医の川崎富作(とみさく)博士によって初めて報告された疾患で、急性熱性皮膚粘膜リンパ節症候群とも呼ばれます。

 時には、冠(状)動脈の炎症によって心筋梗塞(こうそく)や突然死を起こしてしまうことがあるため、注目を集めるようになりました。

 主に4歳以下の乳幼児がかかり、特に0歳と1歳の乳幼児で約50パーセントを占めています。男女別では男子が女子の約1.4倍とやや多い傾向があり、兄弟姉妹で発病する子供が約1パーセントみられます。

 1979年、1982年、1986年には、全国的な大流行がありましたが、それ以外は1年間に約8000人前後の子供が発症しており、人口10万人当たりの発症者数は増える傾向にあります。

 原因は不明ですが、何らかの感染がきっかけになって、血液中にサイトカインと呼ばれる化学物質が増え、いろいろな症状が起こると見なされています。きっかけとなる感染源については、細菌、ウイルス、真菌など今までにいろいろな説が出ています。

 抗生剤に反応しない発熱で始まり、いろいろな症状が出てきますが、主に以下の6つの症状にまとめられます。

 (1)38℃以上の高熱が5日以上続く、(2)手足が硬くはれたり、手のひらや足の裏が赤くなったりする。熱が下がってから、手足の指先から皮膚がむける、(3)両側の眼球結膜が充血し赤くなる、(4)口唇が赤くなり、舌が苺(イチゴ)の表面のようにぶつぶつが大きく目立った状態になる、(5)体全体に赤い発疹(ほっしん)が出る、(6)首のリンパ節がはれ、痛みを伴う。

 ほかの症状として、下痢や嘔吐(おうと)、腹痛などの症状や、時には黄疸(おうだん)がみられることがあります。また、BCGを接種した子供では、その部位が赤くなり一部はかさぶたになります。

 こうした急性期の炎症症状はやがてなくなりますが、川崎病の合併症として約15パーセントに、心臓血管系の重い後遺症を残すことがあります。

 心筋に酸素を送る血管である冠動脈が広がる冠動脈拡張、こぶができたりする冠動脈瘤(りゅう)、弁膜症、心筋炎などです。こうした病変の生じた部分では、血流が渦を巻き、結果として血管が狭くなったり、詰まってしまい、時には心筋梗塞や突然死を起こしてしまうのです。

 心臓血管系の異常は、1歳未満の乳幼児で発熱が10日以上も続く場合に発生しやすいといわれています。この異常が現れるのは発熱後3カ月以内で、その時期を過ぎても異常が現れなければ、さほど心配はいりません。

川崎病の検査と診断と治療

 疾患に気付いたら、循環器を診ることのできる小児科を受診してください。急性期を過ぎても、動脈瘤は遅れて現れることが多く、定期的に心臓血管系のフォローアップが重要となります。

 一般検査ではあまり特徴的所見はありませんが、血液検査では白血球と血小板が増え、赤血球沈降速度が高進し、CRP(C反応性タンパク)が強陽性となることが診断の手掛かりとなります。

 また、胆嚢(たんのう)がはれたり、血清トランスアミナーゼの値が上昇したりすることもあります。聴診、胸部レントゲン、心電図、断層心エコー(超音波)は、心臓血管系の合併症を見付けるために行われ、診断のために欠くことのできない検査です。

 厚生労働省川崎病研究班が診断の手引きを作成していて、この手引きを基に診断が決まります。6つの主な症状のうち、5つ以上がみられた場合と、4つの症状しかなくても冠動脈瘤がみられた場合は川崎病、すなわち定型の川崎病と診断されます。

 4つの症状で冠動脈瘤がみられないもの、3つ以下の症状しかないのに冠動脈病変があるものは、不全型の川崎病とされます。最近は、この不全型の川崎病がかなりみられますが、不全型の中にも冠動脈病変が残るものがあり、軽視することはできないと考えられています。

 治療の最終目標は、起こっている強い炎症をできるだけ早く終わらせて、結果として冠動脈瘤ができないようにすることです。遅くとも、発病から1週間以内には治療を始めることが大切です。標準治療として、ガンマグロブリン大量投与とアスピリン内服療法が確立されています。

 大量のガンマグロブリンは、心臓の血管異常の発生を予防し、全身の炎症を抑える目的で、点滴静注(静脈注射)します。点滴静注の方法についてはさまざまな方法が試みられてきましたが、できるだけ多い量を短期間に入れたほうが冠動脈の異常が起こりにくいことがわかっています。体重当たり2グラムを1回、あるいは体重当たり1グラムを2日間点滴静注する方法が、多く用いられています。

 大量のガンマグロブリン点滴静注が効かない場合には、再度の大量ガンマグロブリン点滴静注、ステロイドによる治療、好中球エラスターゼ阻害剤であるウリナスタチンの点滴静注、血漿(けっしょう)交換療法などが行われます。

 また、炎症を抑え、血を固まりにくくして冠動脈が詰まらないようにするという目的で、中等量のアスピリンを併用して内服するのが一般的です。アスピリンには血を固まりにくくする作用があり、急性期には体重当たり30~50ミリグラムを1日3回飲み、熱が下がった後も2〜3カ月間、体重当たり5~10ミリグラムを1日1回飲み続けます。

 予後は冠動脈瘤が現れるかどうかで左右されますが、冠動脈瘤を合併した場合には、抗血小板薬や抗凝固薬を長期間に渡って併用することが望ましいとされています。

 冠動脈瘤があっても、発病後1カ月の時点で冠動脈瘤の内径が4ミリ以下のものについては、運動の制限は必要ありません。4ミリ以上の動脈瘤が残ったものは、クラブ活動以上の運動は制限されることが大部分ですが、学校での体育については冠動脈病変の程度によって判断されます。いつまで経過観察をするかは、主治医とよく相談し、勝手に通院をやめないことが大切です。