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下垂体卒中

 

下垂体腫瘍の出血によって、頭痛、視覚障害が引き起こされる疾患

 下垂体卒中とは、脳の下部にある下垂体(脳下垂体)腫瘍(しゅよう)の出血や梗塞(こうそく)よって、引き起こされる疾患。卒中とは、臓器内の出血、梗塞などが原因で、症状が急激に出ることです。

 下垂体卒中は、下垂体腫瘍の合併症であり、主に問題になるのは出血のほうになります。突然の出血による急性症状として、激しい頭痛、頸部(けいぶ)硬直、視覚障害、発熱などが出現します。

 出血で急激に腫瘍容積が増大し、近くに位置する視神経交叉(こうさ)が押し上げられれば、両耳側半盲や両眼の視力低下が起きます。ほかに、眼球を動かす動眼神経のまひによる眼球運動障害が出て、目が急に動かなくなることもあります。

 また、下垂体はホルモンの分泌基地なので、成長ホルモンや副腎(ふくじん)皮質刺激ホルモンなどの分泌不足のため、さまざまな程度の下垂体機能低下症が突然生じ、発症者は血管虚脱症状を呈することもあり、生命の危険にさらされます。

下垂体卒中の検査と診断と治療

 脳神経外科、あるいは眼科の医師による診断では、脳脊髄(せきずい)液が出血性のことが多く、頭部MRI検査で出血が証明できれば、下垂体卒中と確定できます。

 急激に視力、視野障害が悪化する場合は、緊急手術が行われます。経蝶経骨洞接近法という鼻の穴からの手術で、腫瘍と血腫を取ります。腫瘍から血があふれることによって、周囲の視神経や動眼神経が圧迫されて症状が起きているので、その圧迫を解消して減圧すれば、症状は急速に改善します。

 少し前までは鼻の穴にハーディ鏡という道具を入れて顕微鏡で手術をしていましたが、最近では両側の鼻の穴の中から内視鏡と器具を入れて手術を行っています。手術による減圧によって、視力、視野の障害や眼球運動の障害はいずれも9割近い確率でよくなります。

 ただし、下垂体腫瘍とその出血によって下垂体自体が傷付いてしまうのは、どうしようもありません。発症後、ホルモン分泌低下による症状は高率で合併してしまいます。