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下垂体機能低下症

 

下垂体が分泌するホルモンが低下するために起こる疾患

 下垂体機能低下症とは、下垂体が分泌する6つのホルモンが低下するために起こる疾患。下垂体は脳下垂体ともいわれ、脳の下にある小さな分泌腺(せん)に相当します。

 6つのホルモンは、副腎(ふくじん)皮質刺激ホルモン(ACTH)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、成長ホルモン(GH)、プロラクチン(PRL)、黄体化ホルモン(LH)、卵胞刺激ホルモン(FSH)。

 これらの下垂体ホルモンはさまざまな臓器に作用しますので、その分泌が低下した状態である下垂体機能低下症では、全身の至る所にさまざまな症状が出現します。6つのホルモンすべてが減少する場合は、汎(はん)下垂体機能低下症といいます。

 多くの場合、下垂体にいく動脈が詰まって下垂体の組織が死んだり、下垂体付近の腫瘍(しゅよう)によって下垂体の正常な組織が押しつぶされることで発症します。さらに、下垂体ホルモンの分泌を調節している視床下部の異常により発症することもあります。

 分娩(ぶんべん)時の大量出血の結果、分娩後の女性に起こることもありますが、その頻度は以前に比べて少なくなってきています。出生時の異常や障害によって起こることもあります。原因のはっきりしないものもあります。

 ほとんどの場合、遺伝とは無関係。ごくまれに、下垂体ができ上がる際に必要なたんぱくの異常により生じることがあり、この場合は、遺伝することがあります。

 原因によらず、一般に下垂体機能低下症は成長ホルモン、黄体化ホルモン、卵胞刺激ホルモンの分泌低下をまず起こしやすく、甲状腺刺激ホルモン、副腎皮質刺激ホルモンがこれに続きます。

 それぞれのホルモンの分泌低下を反映する症状が出現し、副腎皮質刺激ホルモンが不足した場合、副腎皮質ホルモンが十分合成できなくなる結果、倦怠(けんたい)感、低血圧、低血糖、食欲不振、意識障害などが出現します。

 甲状腺刺激ホルモンが不足した場合、甲状腺ホルモンの合成分泌が低下し、甲状腺機能低下症が発症し、倦怠感、寒け、皮膚の乾燥、脱毛、集中力と記憶力低下などが出現します。黄体化ホルモン、卵胞刺激ホルモンの不足では、性ホルモンが不足し、体形が変化したり、性機能が低下したりします。また、不妊の原因となります。

 成長ホルモンが不足した場合、小児では成長の遅れが生じます。成人では、体脂肪の増加、筋肉量や骨塩量の低下、気力、活動性の低下がみられます。プロラクチンの不足の場合、授乳中の女性では乳汁分泌の低下が生じます。

下垂体機能低下症の検査と診断と治療

 内科、外科、脳神経外科、内分泌代謝内科の医師による診断では、下垂体ホルモンとその下垂体ホルモンが作用する組織の内分泌ホルモンを測定し、両者が低値であればその下垂体ホルモンの分泌不全を考慮します。

 次に、下垂体ホルモン分泌刺激試験を行い、下垂体ホルモンが低値から無反応である場合に、下垂体機能低下症と診断します。下垂体およびその周囲の腫瘍を検索するために、頭部MRIや頭部CTなどを行います。

 医師による治療では、原因となっている脳の腫瘍、炎症、外傷などがある場合には、それに対する治療が行われます。原因が除去できない場合は、欠乏している下垂体ホルモンの補充が一般的な治療方法となります。

 副腎皮質刺激ホルモンが不足している場合には通常、副腎皮質ホルモンの経口投与を行います。甲状腺刺激ホルモンが不足している場合には、甲状腺ホルモンの経口投与を行います。

 黄体化ホルモン、卵胞刺激ホルモンが不足している場合は、必要に応じて性ホルモンの補充を行い、妊娠を希望する女性の場合や男性不妊の場合、排卵誘発療法や、精子形成を進める治療を行います。

 成長ホルモンが不足している場合、小児では成長の遅れが生じますので、その補充療法を行います。成人では身長には影響しませんが、成長ホルモンの補充を行うことが身体組成の改善、骨密度の増加に有益であることがわかり、最近補充療法が行われています。プロラクチンに関して、補充療法は行われていません。

 原因となっている疾患が治療されている場合、不足しているホルモンを補充している限り、健常な人と同様の生活を送ることができます。ホルモンの必要量は、体の状況に応じて変動しますので、それに合わせて調整することが重要です。

 特に、副腎皮質刺激ホルモンが不足している場合、副腎皮質ホルモンの補充が必要となりますが、発熱や感染時には通常より多く服用するなど、自分で服用量を調整する必要があります。これらのことができている限り、日常生活に特に制限はありません。