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顎骨腫瘍

 

上あごや下あごの骨の中にできる腫瘍

 顎骨腫瘍(がくこつしゅよう)とは、上あごの上顎骨や、下あごの下顎骨の中にできる腫瘍。

 良性のものと悪性のものとがありますが、悪性腫瘍はあまり多くありません。良性腫瘍は再発が少なく転移もしないため、生命に影響を及ぼすことはほとんどありません。まれに、悪性化する場合もあります。悪性腫瘍であるがんは、生命に関わる重大な疾患であり、再発や転移の可能性があります。首のリンパ節や肺などに転移を起こすこともあります。

 顎骨に発生する良性腫瘍には、歯に関連する組織が原因となる歯原性腫瘍と、歯に関連する組織が原因とならない非歯原性腫瘍があります。歯原性腫瘍には、エナメル上皮腫、角化嚢胞(のうほう)性歯原性腫瘍、歯牙(しが)腫、セメント質腫などがあります。

 人の歯は、胎児期の口の中の歯胚(しはい)というものから作られます。この歯胚からエナメル質、象牙(ぞうげ)質ができた後は、本来、歯胚は委縮してしまうのですが、これが残って腫瘍ができるのが、歯原性腫瘍です。

 歯に関連する組織が原因とならない非歯原性腫瘍には、化骨性線維腫、血管腫、線維性骨異形成などがあり、主に周囲の軟組織に生じます。

 顎骨に発生する悪性腫瘍には、周囲の軟組織から発生した歯肉がんなどが顎骨に浸潤するものと、骨肉腫のように顎骨中心性に発生するものとがあります。

 歯肉がんは、下顎に3分の2がみられ、また臼歯(きゅうし)部に好発します。男性に多く、50歳以上の中高年齢者に多く発症します。骨肉種も、下顎骨に多くみられ、20〜30歳代に多く発症します。10歳代に発生することもあります。

 顎骨に発生する良性腫瘍は、骨の中でゆっくりと大きくなるものが多く、口の中に腫瘍が顔を出すことはあまりありません。代わりに、歯茎がはれたり、顔がはれたりします。

 痛みや出血などの症状はほとんどなく、歯科治療の際に撮影されたX線写真によって、偶然発見されるケースが多くなっています。

 歯肉がんでは、歯茎の炎症と同じような症状で始まり、歯の痛み、歯茎のはれなどを自覚します。進行すると、凸凹したこぶ状のしこりとなって、表面に潰瘍(かいよう)ができ、 悪臭や神経痛のような痛みが出たり、出血することもあります。

 さらに進行すると、歯肉のすぐ下にある下顎骨や上顎骨へとがんが広がっていき、これを破壊します。そのために、歯が緩んだり、抜け落ちたりすることがあります。

 骨肉種では、発育が非常に速く、あごの運動障害、歯の緩みや抜け落ち、あごの神経まひなどを起こします。

顎骨腫瘍の検査と診断と治療

 疑わしい病変に気付いたら、直ちに口腔(こうくう)外科などの専門医を受診し、検査や治療を受けます。日ごろから歯磨き時の異常出血などに気を付けておけば、早期発見につながります。

 医師による診断では、口腔内を視診し、腫瘍の状態を確かめます。大きさや固さ、深さなどを調べるため、直接指で腫瘍に触れ、同時に首のリンパ節の状態も触診します。初診時の腫瘍の状態を記録するために口腔内外の写真を撮影し、腫瘍に近接する歯の検査を行うこともあります。

 さらに、CT検査、MRI検査、超音波検査を行い、腫瘍の正確な位置や大きさ、首のリンパ節転移の有無などの情報を得ます。

 確定診断をするには、腫瘍の一部を採取して顕微鏡下で調べる生検という検査が必要になります。何らかの理由で生検が行いにくい場合は、細い針で腫瘍細胞を吸引して検査をする吸引細胞診という検査を行うこともあります。

 治療法は、良性腫瘍と悪性腫瘍であるがんとでは違ってきます。

 良性の顎骨腫瘍の場合は原則として、手術で病変だけを全部取り去れば治ります。しかし、腫瘍の周りの骨に入り込んでいるものがあり、きちんと取り去るためには、周囲の骨や歯をある程度含めて切り取らなければなりません。取る骨の大きさによっては、骨の移植が必要となります。

 良性の腫瘍では症状が少ない場合が多いので、突然手術を勧められて驚くかもしれませんが、放射線抗がん剤の治療よりも手術が最良の治療法ですので、手術を受けることが賢明です。

 顎骨に発生した悪性腫瘍の場合は、他領域での悪性腫瘍と同様、手術療法、放射線療法、化学療法およびそれらの併用療法が用いられる。

 歯肉がんの場合、初期では手術療法が中心となりますが、機能温存の点から組織内照射という特殊な放射線治療を行う医療機関もあります。 また、進行したものでは、それぞれの治療法を組み合わせた集学的治療法が行われます。

 骨肉腫の場合、手術で原発腫瘍を切除するだけでは不十分で、目に見えない微少転移を防ぐことが重要です。このため、化学療法と手術療法の組み合わせが標準治療となります。