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オニコクリプトーシス

 

爪の甲が弓なりに曲がり両側縁に食い込んだ状態

 オニコクリプトーシスとは、爪(つめ)の甲が両側縁に向かって深く湾曲して、側爪廓(そくそうかく)に食い込み、爪廓部を損傷する状態。陥入爪(そう)とも呼ばれます。

 オニコクリプトーシスが高度に湾曲したものを、ピンサーネイル、巻き爪と呼んでいます。

 足の爪に起こることがほとんどで、まれには手の爪にもみられます。統計的に欧米人に多く、また3対1の割合で男性に多いとされていましたが、近年では、日本人の間にも急速に増加し、ことに若い女性での発生が目立ちます。

 主な原因は、先天的な爪の異常、爪の外傷、爪の下がうむ疾患である化膿(かのう)性爪囲炎(ひょうそ)後の変形です。これに、窮屈な先の細い靴による爪の圧迫、不適当な爪切り、立ち仕事や肥満による過度の体重負荷ないし下肢の血流障害、あるいは、爪の水虫による爪の甲の変形などが加わって、悪化します。

 爪の甲の端が爪廓に食い込むと、圧迫によって痛みを生じます。また、陥入した爪の甲が爪廓の皮膚を突き刺すようになると、指の回りがはれたり、その部分を傷めて痛みが増強します。

 爪の甲の端が変形して起こるため、肉眼で確認しづらい状態で進行していくことが多く、気付いた時には皮膚に深く食い込んでしまっていることもあります。場合によっては、出血を起こすほどに爪が深く突き刺さってしまうこともあります。

 この傷に、ばい菌が入ると、より赤くはれ上がってくるとともに、赤い出来物を生じるようになります。これを化膿性肉芽腫(にくげしゅ)と呼びます。

 化膿性爪囲炎などの感染は、オニコクリプトーシスを誘発したり、悪化させたりするため、早期に適切な治療を必要とします。オニコクリプトーシスの再発を繰り返す場合や、側爪廓の盛り上りが強すぎて歩行に支障を来すような場合には、皮膚科、ないし皮膚泌尿器科の専門医による外科的治療を行わないと完治しません。

オニコクリプトーシスの検査と診断と治療

 皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による診断では、特別な検査は行わずに、見た目と症状の経過からオニコクリプトーシス(陥入爪)と確定します。

 皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による治療の基本となるのは、爪の端を皮膚に刺さらないように浮かせて伸ばし、とげ状の部分をカットする方法と、手術で爪の端を取り除く方法です。爪の変形が強くなるため、原則的に抜爪は行われません。

 樹脂製のチューブを爪の端に装着するガター法も、行われています。爪を切開して、爪の端をチューブで包むことで指の組織を保護するのが目的で、傷口が化膿している場合などに、ガーター法は行われます。同時に、ワイヤー矯正術も行われ、爪の湾曲を修正します。

 オニコクリプトーシスを治療するためではなく、化膿した組織を治すためには、硝酸銀が使われます。硝酸銀をオニコクリプトーシスでできた傷口に滴下し、傷口を溶かし正常な組織への再生を促します。硝酸銀が滴下された皮膚は、しばらくの間、黒く染色されます。

 オニコクリプトーシスがひどい場合には、爪の元となる組織である爪母を除去する外科手術を行って、改善を図ります。爪母を外科手術で除去する鬼塚法と、薬品で爪母を焼き取るフェノール法がありますが、どちらも再発する可能性があるというデメリットがあります。近年では、レーザーメスを使って爪母を切除する方法も開発されています。いずれにしろ、外科手術は最後の手段となる場合がほとんどです。

 生活上の注意としては、まず足指を清潔に保つことが大切なので、多少ジクジクしていても入浴し、シャワーでばい菌を洗い流します。ばんそうこうなどで傷口を覆うと、かえって蒸れてばい菌が増殖します。消毒した後、できれば傷を覆わないか、風通しのよい薄いガーゼ1枚で覆います。

 窮屈な靴、特にハイヒールや先のとがった革靴などは、爪を過度に圧迫するので避けます。爪切りの際には、かえってオニコクリプトーシスを増強させる深爪にしないように気を付けます。