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アルポート症候群

 

腎機能が低下して尿に血が混じり、時に難聴や目の異常が生じる遺伝性の疾患

 アルポート症候群とは、腎(じん)機能が低下して尿に血が混じり、時に難聴や目の異常が生じる遺伝性の糸球体(しきゅうたい)腎炎。

 尿を作るために血液を、ろ過する腎臓の糸球体の基底膜や、内耳にあって聴覚をつかさどる蝸牛(かぎゅう)管が納まっている蝸牛のらせん靭帯(じんたい)にある、Ⅳ型コラーゲンの遺伝子変異が原因で、これらが障害されることにより腎機能の低下や難聴などを来すとされています。

 通常、性染色体であるX染色体上の異常遺伝子によって起こりますが、性染色体以外の染色体である常染色体上の遺伝子の異常が原因となることもあります。X染色体上の異常遺伝子によって起こる場合は、2本のX染色体の一方に遺伝子変異を認める保因者の母親から子供へと、2分の1の確率で遺伝します。

 異常遺伝子を持っている人でこのアルポート症候群がどの程度重症になるかについては、他の要因がかかわっています。

 女性で2本のX染色体の一方に異常遺伝子がある場合、正常な人に比べて腎機能がやや劣り、多くは軽度の血尿、蛋白(たんぱく)尿がみられるものの、ほとんど症状は現れません。一般に進行が遅く、腎機能が極端に低下して正常な体の調節機能が働かなくなる腎不全に進行することはまれで、多くの人は保因者になります。

 X染色体上の異常遺伝子を持つ男性の場合、通常は20〜30歳で腎不全を発症します。これは男性にはX染色体が1本しかなく、異常部分が補われることがないためです。

 一方、常染色体上の遺伝子の異常が原因となって起こる場合は、1本の常染色体にだけ異常遺伝子がある場合の多くは、血尿以外の症状は出ませんが、尿の顕微鏡検査では蛋白質、白血球、有形成分の小さな塊である円柱などがみられることがあります。

 2本の常染色体に異常遺伝子がある場合は、多くは生後間もないころから顕微鏡的血尿が認められます。幼児期から小学校低学年の間に、目で確認できる血尿が出始めて、加齢とともに蛋白尿も加わり、多量の蛋白尿が糸球体から尿中に常時排出され、血液中の蛋白質が極度に不足するネフローゼ症候群を示すこともあります。やがて腎機能が次第に低下し、大半のケースで腎不全に至ります。

 アルポート症候群は、腎臓以外の器官にも影響を及ぼします。両側性進行性の聴力低下が起こり、高い周波数の音が聞こえなくなることがよくあります。

 聴力低下ほど多くはないものの、眼球が白く濁り、視力障害を来す白内障も起こります。角膜や水晶体、網膜に異常が生じたり、失明することもあります。

 このほか、血液中の血小板数が減少する血小板減少症、複数の神経を障害する多発神経障害などの異常がみられます。まれに、食道平滑筋腫(しゅ)を合併することがあります。

アルポート症候群の検査と診断と治療

 小児科、腎臓科などの医師による診断では、腎臓病の家族歴を聞き、尿検査を行って異常を調べます。

 難聴などの腎臓以外の症状がない場合は、腎臓の組織を顕微鏡で調べる腎生検を行って、糸球体基底膜菲(ひ)薄化症候群やIgA腎症と鑑別します。X染色体性遺伝であれば、皮膚生検を行って鑑別することも可能です。

 小児科、腎臓科などの医師による治療では、現在のところ根本的な治療法はないため、腎不全への進行予防のために、腎臓を保護する作用のあるアンジオテンシン変換酵素阻害薬やアンジオテンシンⅡ受容体拮抗(きっこう)薬の投与が行い、一定の効果を認めています。

 末期腎不全に至れば、透析または腎移植が必要となります。

 子供を希望するアルポート症候群の発症者には、遺伝子検査を行います。