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圧迫性視神経症

 

頭蓋骨や眼窩の中にできた腫瘍が原因で起こる視力障害

 圧迫性視神経症とは、目の情報を脳に伝える視神経が腫瘍(しゅよう)によって圧迫され、視力や視野の障害が起こった状態。その裏に大きな疾患が隠れていることが多く、脳外科的治療が必要となります。

 眼球を入れる頭蓋(とうがい)骨のくぼみである眼窩(がんか)の中に腫瘍ができたり、頭蓋骨の中に腫瘍ができた場合に、視神経が圧迫されて障害が起こります。

 眼球から後方に伸びる視神経は、後端から約30ミリのところで視神経管を経て頭蓋内に入り、間もなく視交叉(こうさ)という左右の視神経が集合する部位で50パーセントは交叉し、50パーセントは交叉せずに、視索を経て脳に入ります。この途中で、何らかの腫瘍によって圧迫されると、徐々に視神経線維に直接的な圧迫や循環障害が生じます。

 視神経を圧迫する原因となる疾患としては、甲状腺(せん)機能の異常に伴って外眼筋が腫大する甲状腺眼症、蓄膿(ちくのう)手術後の嚢胞(のうほう)や悪性腫瘍などの副鼻腔(ふくびくう)の病変、髄膜腫や頭蓋咽頭(いんとう)腫などの頭蓋内腫瘍、頭蓋内内頸動脈瘤(ないけいどうみゃくりゅう)や内頸動脈硬化症などが挙げられます。

 圧迫性視神経症の症状は、片目に現れ、数カ月に渡ってゆっくりと進行していくことが特徴です。痛みはありません。ただし、副鼻腔の腫瘍の場合は痛みを伴うことが多く、眼窩内の病変による場合は眼球突出を伴うことがあります。

 視力の障害は中心視力が低下することが多いのですが、視力が低下しないこともあります。視野の障害も中心が見えにくくなる中心暗点から、耳側か鼻側半分が見えにくくなる半盲性(はんもうせい)障害までさまざまです。

圧迫性視神経症の検査と診断と治療

 圧迫性視神経症の多くは片目に現れ、痛みもなく、急激発症の形をとらないため、たまたま片目を閉じて見えにくいことに気付くケースがほとんどです。ゆっくりではあるものの慢性的に進行しますので、そのようなケースではできるだけ早く、眼科で精密検査を受けます。

 医師による眼底検査では、進行すれば視神経乳頭に委縮所見を示しますが、多くの場合は眼窩の中に異常はありません。片眼性の場合は瞳孔(どうこう)の対光反応に左右差があることが特徴的で、左右の動きがあまりに違うと圧迫性視神経症が疑われます。

 眼底検査、視野検査、瞳孔反応などから圧迫性視神経症が疑われる場合は、確定診断のためにCT、MRIなどの画像診断が行われます。頭蓋内内頸動脈瘤など血管性病変が疑われる場合は、MRA(MRアンジオグラフィ)や脳血管造影が行われます。

 また、蓄膿の手術歴があるか、甲状腺疾患を指摘されたことがあるかなど、十分な病歴聴取も診断の一助とされます。

 圧迫性視神経症の治療では、原因となる疾患の手術などによる治療が基本となり、脳外科や耳鼻科などとの連携がとられます。手術後は、視神経の保護目的でビタミンB12製剤(メチコバール)を内服することがあります。