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早期再分極症候群

 

致死性不整脈へと直接つながる可能性がある不整脈疾患

 早期再分極症候群とは、心臓の器質的な病変がない場合でも、心室細動心室頻拍などの致死性不整脈へと直接つながる可能性がある不整脈疾患。J波症候群、ERS(Early Repolarization Syndrome)とも呼ばれます。

 再分極は、心電図の波形において心臓の電気的刺激が収束していく過程のことを指す言葉であり、早期再分極症候群は、心臓の拍動を生み出す電気的刺激の伝達において、通常の場合よりも心筋の電気的刺激が早く収束する不整脈の形態を意味することになります。

 これに対して、早期再分極症候群の別名として使われることも多いJ波症候群のJ波は、心室の収縮を表すQRS波と、心室の弛緩(しかん)すなわち再分極を表すT波の間に出現することがある心電図の小さな波のことを指す言葉であり、心電図のQRS波の終わりにJ波が割り込むように出現することによって、心筋の電気的刺激を収束させる本来の波であるT波がくる前に早期に心筋の弛緩が始まることになります。

 従って、心電図においてJ波が出現すると、心臓の電気的刺激の収束である再分極が通常よりも早期に始まることになるので、心電図にJ波が現れるJ波症候群は、早期再分極症候群へとつながる一連の不整脈の形態としてもとらえられることになります。

 早期再分極症候群ないしJ波症候群においては、心筋の電気的刺激の伝達において、本来よりも早く心臓の電気的刺激が収束する再分極が始まることによって、心臓の電気的状態が不安定となり、特発性の心室頻拍や心室細動といったより重篤で命にかかわる不整脈の状態へと移行する可能性がある程度高まる可能性があると考えられます。

 しかし、こうした潜在的な危険性の一方で、早期再分極や心電図におけるJ波の出現は、自覚症状がないものや、心電図におけるJ波の所見が極めて軽微であるものも含めると、全人口の5~10%程度の人に見られるほど非常に多く認められる心電図の特徴でもあります。

 つまり、早期再分極症候群という不整脈の形態自体は、発症率の極めて高い、極めて一般的な不整脈の形態であり、早期再分極症候群を有する人の多くが、実際には、失神などの危険な兆候はおろか、何の自覚症状も感じずに、心室細動のような致死的な不整脈とは無縁のまま健康な生活を送っているということにもなります。

 早期再分極症候群と診断された場合、その不整脈の形態が実際にどの程度命にかかわる危険性が高いかは、心電図に見られるJ波の波形の大きさや、頻脈発作の有無、失神やめまい、立ちくらみといった危険な兆候の有無などから総合的に判断されていくことになります。

 特に、ブルガダ症候群やQT延長症候群といったほかの致死性不整脈と合併して、この早期再分極症候群が現れている場合は、心室細動心室頻拍を引き起こす危険性が高まる要因として重視されることになります。

 早期再分極症候群を発症する70〜80%は男性であり、発症年齢は40歳前後。突然死の家族歴を10〜20%に認め、これは早期再分極症候群の発症に遺伝的背景が関与していることを示唆しており、実際に現在までに5種類のイオンチャネル遺伝子が原因遺伝子として報告されています。

 心室細動心室頻拍を引き起こす状況は一様でなく、夜間や睡眠中に発作を来す場合が多いものの、労作時や運動時に発作を来す場合も少なからず存在します。

 主に左室下壁誘導ないしは左室側壁誘導の早期再分極が心室細動に関連しますが、右側胸部誘導に早期再分極を認めることもあります。J波の高さはさまざまな状況において変動し、時に消失するものの、徐脈が生じたり,長いポーズ(心停止)が生じた時に増強し、心室細動の発作の直前に通常は最もJ波は高くなります。

早期再分極症候群の検査と診断と治療

 循環器科、循環器内科、不整脈科、不整脈内科などの医師による診断では、失神の既往歴、突然死の家族歴があり、心臓に流れる電流を異なる12方向から記録する12誘導心電図による検査で、左室下壁誘導(心電図検査のⅡ、Ⅲ、aVFと呼ばれる項目)と左室側壁誘導(心電図検査のⅠ、aVL、V4-V6と呼ばれる項目)の中の2誘導以上で1ミリ以上のJ波を認めた場合、早期再分極症候群の可能性を疑います。

 循環器科、循環器内科、不整脈科、不整脈内科などの医師による治療では、心室細動が出現した場合は、植え込み型除細動器(ICD)の埋め込み手術を行います。植え込み型除細動器は、致命的な不整脈が起きても、それを自動的に感知して止めてしまう装置。

 心室細動が頻回にわたって出現する場合には、発作予防の抗不整脈薬の投与が必要となり、β(ベータ)刺激薬であるイソプロテレノールや心拍を早くするためのベーシングが有効です。再発予防には、キニジンが有効です。

 抗不整脈薬の効果がない場合は、心室細動の引き金になる心室性期外収縮を発生させている左室下壁あるいは左室側壁の異常興奮部位を探し出し、足の付け根などからカテーテルと呼ばれる電極を心臓内に挿入し、高周波電流で焼灼(しょうしゃく)するカテーテルアブレーション(カテーテル焼灼法)という手術を行うことがあります。

 

■重い精神疾患の人、薬の副作用と自殺で22年短命に 東大病院が追跡調査

 

 重い精神疾患の人は一般の人と比べて心筋梗塞(こうそく)などの心血管疾患と自殺で亡くなるリスクが高く、平均で22年短命になっているとの調査結果を、東京大学医学部附属病院精神神経科の近藤伸介助教(精神神経科)らの研究チームが、イギリスの精神医学専門誌に論文発表しました。

 日本国内でのこうした調査は初めてで、イギリスや北欧の調査結果と傾向が一致しているといいます。

 研究チームは、精神科病院の長期入院を経て退院し、地域生活に移行した後に、近藤助教が顧問医を務める社会福祉法人「巣立ち会」(東京都三鷹市)のグループホームなどを利用した254人を追跡調査。

 1992年以降の24年間に45人が死亡しており、全員が統合失調症双極性障害など重い精神疾患のほか、うつ病といった慢性精神疾患を有していました。

 45人の死因や年齢を、国の人口動態統計と比較した結果、平均入院年数は15・6年、死亡時の平均年齢は63歳で、一般の人の平均より22・2年早くなっていました。死因を分析すると、心筋梗塞などの心血管疾患が5・09倍、自殺が7・38倍、それぞれ一般の人より死亡する可能性が高くなっていました。

 心血管疾患の多さの要因は、喫煙率の高さや経済的困窮に伴う食生活の乱れ、薬の長期服用による血糖値上昇といった副作用などが考えられるといいます。自殺については、統合失調症の幻覚や妄想などが関係する可能性があるとしています。

 近藤助教は、「医療者側の支援も重要で、生活習慣や治療薬の量を改善していく必要がある」と話しています。

 

 2017年8月23日(水)

■ポテトサラダでO157食中毒、系列2店の客も感染 食品加工工場が汚染源か

 

 埼玉県熊谷市のスーパー「食彩館マルシェ籠原店」に入る総菜店「でりしゃす籠原店」で販売されたポテトサラダを食べた客が腸管出血性大腸菌O157による食中毒を訴えた問題で埼玉県は22日、新たに5人の発症が判明したと発表しました。

 同店のほか、熊谷市内の別の系列店と前橋市内の系列店でもO157による食中毒が確認されました。

 埼玉県食品安全課や同店を経営する「フレッシュコーポレーション」(群馬県太田市)によると、食中毒の原因とされるポテトサラダの食材は群馬県高崎市内の食品加工工場から仕入れ、ハムやリンゴを混ぜて販売していました。7~8日に同店などが販売したポテトサラダを食べた客のうち、埼玉県内の4~69歳の男女計13人が下痢や腹痛などを訴え、うち9人の便からO157が検出されたといいます。

 このうち、女児(5歳)が腎臓の機能が低下する溶血性尿毒症症候群(HUS)を発症し、意識不明の重体。女児を含めた3人が入院しており、男児(4歳)と女性(60歳)は回復に向かっているものの、3人とも退院のめどは立っていません。埼玉県食品安全課によると、群馬県の系列店でもO157の発症を確認したといいます。

 これまで、同じ食品加工工場から仕入れたポテトサラダを販売していた、でりしゃす籠原店以外の系列16店では食中毒の訴えがないとされてきたため、同店での調理、販売の過程で汚染されたとみられていましたが、埼玉県食品安全課は各店舗がポテトサラダを仕入れていた食品加工工場が汚染源の可能性もあるとみて、さらに調べます。

 フレッシュコーポレーションは、1976年に群馬県薮塚本町(現・太田市)でスーパー、フジマートを創業し、1978年に会社設立。1995年に社名をフジタコーポレーションとし、群馬県、埼玉県、栃木県でスーパーなどを展開してきました。

 昨年11月に牛丼チェーン「すき家」を展開するゼンショーホールディングスが約124億円で買収し、今年5月に現社名に変更しました。3県でスーパー27店舗、総菜専門店17店舗を運営しています。

 

 2017年8月22日(火)

■難病のクローン病に羊膜由来の幹細胞を投与、11月にも治験開始へ 北大と兵庫医大

 

 大腸や小腸などの消化管に慢性の炎症が起きる難病のクローン病の患者に、胎児を包む羊膜から採取した幹細胞を投与する再生医療臨床試験(治験)を、北海道大学兵庫医科大学が11月にも開始します。

 薬が効かない患者の症状改善を期待しています。再生医療製品として5年後の製造販売承認を取得することを目指します。

 対象は、大腸に炎症があり、既存の薬が効かないクローン病の患者。北大病院で第三者が出産した際に提供された羊膜から、炎症を抑える作用がある「間葉系幹細胞」を抽出して培養し、北大、兵庫医大病院で患者に点滴します。2年間で最大12人に実施、投与1年後まで経過を見守ります。9月に、治験計画を北大の倫理委員会に申請します。

 北大の大西俊介准教授(消化器内科)の研究チームは、腸に炎症を起こしたラットに人の羊膜由来の間葉系幹細胞を注射したところ、炎症抑制などの効果を確認しました。

 羊膜由来の間葉系幹細胞は、妊婦の羊膜に存在する未分化の細胞で、筋肉、骨、軟骨、脂肪など間葉系に属するさまざまな細胞に分化する能力や自己複製の能力を持ち、免疫抑制作用があります。また、増殖性が高く、拒絶反応が起こりにくいため、他人に移植しやすく、羊膜は出産後不要となり倫理的にも問題となりにくいといった特長があります。

 大西准教授は、「羊膜には間葉系幹細胞が豊富にあり、効果が望める」と話しています。

 国立がん研究センター研究所の落谷孝広・分子細胞治療研究分野長は、「間葉系幹細胞が炎症を抑える仕組みには不明な点もあり、治験で明らかになるのを期待したい」と話しています。

 クローン病は、主に小腸や大腸に炎症や潰瘍が起きます。10歳代後半から30歳代前半に発症することが多く、国内患者は約4万人。原因は不明で根本的な治療法はありませんが、食生活の欧米化によって日本でも発症者数が増えていることから、食物中の物質や微生物が抗原となって異常反応を引き起こすことが原因の1つと考えられています。いわゆる難病として厚生労働省特定疾患に指定されており、申請すると医療費の補助が受けられます。

 

 2017年8月21日(月)

■O157で埼玉県の5歳女児重体、2人も重症 総菜店のポテトサラダが原因

 

 埼玉県は21日、同県熊谷市のスーパー「食彩館マルシェ籠原店」に入る総菜店「でりしゃす籠原店」で買ったポテトサラダを食べた8人が腸管出血性大腸菌O157に感染し、うち女児(5歳)が溶血性尿毒症症候群(HUS)で意識不明の重体、男児(4歳)と女性(60歳)が重症になったと発表しました。

 現在も3人が入院中で、退院のめどは立っていません。

 埼玉県によると、ポテトサラダは、でりしゃす籠原店が県外の食品加工工場から仕入れ、ハムやリンゴを混ぜて販売していました。熊谷保健所は、同店を21日から3日間の営業停止処分としました。原因となった食材や、ポテトサラダの流通経路などを調べています。

 男児が入院した病院のある群馬県から14日、「群馬県内の医療機関に入院中の埼玉県内在住の患者からO157が検出された」と連絡があり、熊谷保健所が調べていました。

 7日に販売された「ハムいっぱいポテトサラダ」と、8日に販売された「リンゴいっぱいポテトサラダ」を食べた埼玉県内居住の4~60歳の8人(男性4人、女性4人)が腹痛や下痢などの症状を訴えたことがわかりました。うち7〜12歳の子供3人も下痢などの症状で一時入院しましたが、すでに退院しています。

 食彩館マルシェ籠原店と、でりしゃす籠原店を経営するフレッシュコーポレーション群馬県太田市)によると、ほかの店舗で食中毒の訴えはありません。同社は、「発症された皆様とそのご家族の方々、また日ごろよりご利用いただいているお客様や関係者皆様に、多大なご迷惑とご心配をおかけいたしましたこと、心より深くお詫び申し上げます」とするコメントを発表しました。

 O157は、腸管出血性大腸菌の一種で、少量でも食中毒の原因となります。発熱や下痢、血便を引き起こし、溶血性尿毒症症候群(HUS)や脳症を併発して死亡することもあります。生または加熱が不十分な肉、野菜など幅広い食品で感染例があります。

 1982年、アメリカでハンバーガーによる集団食中毒が世界で初めて発生し、その後、世界各地で報告されました。日本では1990年、埼玉県浦和市(当時)の幼稚園で、井戸水汚染により2人が死亡したのが最初。1996年には全国で爆発的発生がみられ、特に大阪府堺市では小学校給食がO157に汚染したため、9000人以上が発症し、3人が死亡しました。

 

 2017年8月21日(月)

■「近隣住宅受動喫煙被害者の会」の会員が820人に増加 5月19日に発足し7月末時点で

 

 いわゆる「ホタル族」らがマンションのベランダなどで吸うたばこの煙が近隣住宅へ流れる受動喫煙に悩む被害者らが5月19日、「近隣住宅受動喫煙被害者の会」(事務局・横浜市中区)を正式に発足させたところ、7月末までの約2カ月半で会員登録が全国の約820人に上り、受動喫煙への不満が高まっていることが浮き彫りになりました。

 事務局は、「会員がここまで増えるとは想定外だった」と驚いています。公共スペースや店舗などでの喫煙の在り方が長らく議論になっていますが、ホタル族らによるプライベート空間での喫煙についても、ルール作りなどを巡って議論を呼びそうです。

 被害者の会は、自身も受動喫煙健康被害を受けた埼玉県在住の荻野寿美子代表(49歳)が「受動喫煙で夜も眠れない人や、ぜんそく発作を起こした子供もいる。一人で立ち向かうのは難しい。協力して住みよい環境づくりを目指したい」として発足させ、各地で被害者相談会を開いています。

 被害者の会では今後、日本弁護士連合会へ人権救済を申し立てたり、「ベランダ喫煙禁止法」と「ベランダ喫煙禁止条例」の制定を求め国や自治体へ申し入れをしたりする予定です。広報担当者は、「ベランダというプライベートな空間での喫煙を一斉に禁じるのは難しいと思うが、近隣から苦情が出た時に、喫煙者や管理会社に対応を取ることを義務付けたい」と語っています。

 近隣住民による受動喫煙を巡っては、トラブルを避けるため苦情をいえない被害者が目立ちます。被害者の会役員の岡本光樹弁護士(第二東京弁護士会)は、「住居での受動喫煙の相談を年間約40件受けてきた。個別に解決策を助言してきたが、法律や条例の制定による抜本的な解決を目指したい」と語っています。

 家の中では家族に嫌がられたり煙で部屋が汚れたりするため、ベランダや庭に出てたばこを吸う人は多く、暗がりで火だけが見える姿からホタル族と呼ばれるようになりました。この近隣のホタル族に関するトラブルは、全国で多発しています。2007年~2008年にかけて東京、名古屋、大阪で行われた聞き取り調査では、「換気扇から煙が入ってくる」「ベランダなどに出られなくなった」「ベランダに布団や衣類を干せなくなった」などの問題が明らかになっています。

 福岡市中央区港には今年3月、全面禁煙の新築賃貸マンションが登場しました。昨年12月から入居者を募集し、入居開始前に全48戸が埋まりました。不動産管理会社の担当者は、「この早さで埋まるのは珍しい。関心の高さを感じた」と話しています。

 受動喫煙問題に取り組む山村行弘弁護士(第一東京弁護士会)は、「当事者同士で話をするとトラブルに発展する恐れもあるので、まずは管理会社に相談するほうがいい。苦情が出た場合に備え、管理会社はベランダでの喫煙禁止を明文化するなどの対応を検討すべきだ」と話しています。

 

 2017年8月20日(日)

■児童虐待12万2578件、過去最悪を更新 厚労省まとめ、2016年度

 

 全国に210カ所ある児童相談所が2016年度に児童虐待の相談・通報を受けて対応した件数は12万2578件(速報値)となり、過去最悪を更新したことが17日、厚生労働省のまとめで明らかになりました。

 集計を始めた1990年度から26年連続の増加。初めて10万件を超えた2015年度と比べ、1万9292件(18・7%)増えました。

 暴言や無視などの「心理的虐待」への対応が増加したことに加え、警察が児童相談所などへの通告を徹底したことが要因で、国は自治体に児童相談所職員の増員を促すなど体制強化を急いでいます。

 児童虐待の内容別では、心理的虐待が最多の6万3187件(51・5%)で前年度より1万4487件増加しました。身体的虐待は3万1927件(26・0%)、ネグレクト(育児放棄)は2万5842件(21・1%)、性的虐待は1622件(1・3%)でした。

 心理的虐待には、配偶者らへの暴力で子供が心理的ストレスを受ける「面前DV(ドメスティック・バイオレンス)」も含まれます。心理的虐待の増加について、厚労省は「面前DVが虐待に当たるとの認識が浸透してきたため」とみています。

 児童相談所への通告件数が最も多かったのは、警察など捜査機関の5万4813件で、前年度より1万6289件増加。これは警察庁が昨年4月、児童虐待の疑いを把握した場合、迅速に児童相談所に通告するよう全国の警察本部に通達した影響が大きいとみられます。

 都道府県別では、大阪府が1万7743件で最も多く、東京都1万2494件、神奈川県1万2194件と続きました。最も少なかったのは鳥取県で84件、島根県214件、佐賀県275件の順でした。

 前年度からの増加率で見ると、福島県(1・81倍、956件)、富山県(1・76倍、629件)、福岡県(1・75倍、4194件)などが高くなりました。一方、宮城県など7県では減少しました。

 2015年度に発生または表面化した子供の虐待死事例は、72例84人。このうち、心中以外の虐待死は48例52人で、0歳児が30人(57・7%)と最も多く、虐待の種類では身体的虐待が35人(67・3%)、ネグレクト12人(23・1%)の順に多くなりました。

 急増する児童虐待に対応するため、厚労省は昨年4月、児童相談所に勤務する児童福祉司などの専門職を2015年度の4310人から2019年度までに1120人増やす方針を決定。今年4月に施行された改正児童福祉法では、東京23区に児童相談所の設置が認められ、各区で設置に向けた準備が進められています。

 松原康雄・明治学院大学長(児童福祉論)は、「対応件数の増加は、家庭の養育能力の低下などで虐待自体が増えたことと、自治体や警察などが情報共有を進め、これまで見えなかった虐待を把握できるようになったという二つの側面がある。国や自治体は、地域や民間団体との連携を強化する必要がある」と話しています。

 

 2017年8月20日(日)